こんな悩みを解決
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レシートを段ボールに溜め込んでしまい、年末処理で追い込まれている
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PDF請求書やネット明細を紙に印刷しているが、それで十分か不安
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「スマホで撮影すればOK」 と聞いたが、正しいルールを確認したい
結論:スマホ保存は可能。ただし“3つの要件”を必ず守ること
紙のレシートや請求書は、スマホで撮影して電子保存することで原本を廃棄できます。これを「スキャナ保存」といいます。
ただし、次の3要件を満たすことが前提です。
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真正性:改ざん防止や履歴の記録
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可視性:即時に画面表示・印刷できること
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検索性:日付・金額・取引先で検索できること
この3つを確実に押さえることで、段ボールに山積みされた証憑に悩まされることはなくなります。
タイムスタンプは必須ではない
かつてはタイムスタンプが必須とされていましたが、制度改正により運用が緩和されています。
取引後一定期間内に保存し、訂正や削除の履歴が残る仕組みを用いれば、タイムスタンプがなくても要件を満たすことが可能です。
電子で受け取ったものは「電子で保存」が義務
メールで届く請求書やダウンロードした明細は「電子取引データ」にあたります。
2024年以降、これらは電子のまま保存することが義務です。紙に印刷して保管するだけでは認められません。
検索要件は「日付×金額×取引先」で十分
電子保存データは検索できることが条件です。必要なのは「日付」「金額」「取引先」の3つ。これをAND条件で絞り込めれば要件を満たします。OR検索は不要です。
一部小規模事業者には緩和措置もありますが、今後の成長を考えれば標準要件を満たす仕組みにしておくことが望ましいです。
実務アドバイス:今日から始めるステップ
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保存先を一本化する
改ざん防止と検索機能を備えたクラウドシステムを利用する。 -
事務処理規程を整備する
国税庁のサンプルを参考に、自社に合わせた規程を作成し備え付ける。 -
週次で保存を徹底する
レシートは受領週内に撮影・保存する。短期運用が最も安全。
注意すべきポイント
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撮影しただけで整理しない
ファイル名が「IMG_1234」のままでは検索要件を満たさない。日付・金額・取引先を必ず付与する。 -
電子取引を紙でしか保存していない
義務違反となる。電子データは電子のまま保存すること。 -
特例を過信する
「小規模だから大丈夫」と油断すると、翌期に売上が増えた瞬間に要件不足に陥る。標準要件で整備しておくことが重要。
まとめ
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スマホ保存は可能だが、「真正性・可視性・検索性」の3要件を外してはならない。
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電子で受け取ったデータは電子で保存することが法律で義務付けられている。
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保存先の一本化、規程の整備、週次保存。この3つを実践すれば、証憑整理は確実に効率化でき、税務調査や将来の成長にも対応できる。
出典
国税庁「電子帳簿保存法Q&A(スキャナ保存関係)」
国税庁「電子帳簿保存法Q&A(電子取引関係)」
国税庁「参考資料(事務処理規程サンプル)」